行政書士の守秘義務について

行政書士は、業務上知り得た秘密を守る義務(守秘義務)を負っています。これは、行政書士法や行政書士職務基本規則によって定められており、依頼者の信頼を守る上で非常に重要なものです。以下に、関連する条文を引用しながら、行政書士の守秘義務について解説します。

1. 行政書士法における守秘義務

  • 第12条(秘密保持の義務)
    • 「行政書士は、正当な理由がなく、その業務上取り扱つた事項について知り得た秘密を漏らしてはならない。行政書士でなくなつた後も、また同様とする。」
    • この条文は、行政書士が現役であるか否かにかかわらず、業務上知り得た秘密を漏らしてはならないことを定めています。
  • 第14条 (行政書士に対する懲戒)
    • 「行政書士が、この法律若しくはこれに基づく命令、規則その他都道府県知事の処分に違反したとき又は行政書士たるにふさわしくない重大な非行があつたときは、都道府県知事は、当該行政書士に対し、次に掲げる処分をすることができる。
      一 戒告
      二 二年以内の業務の停止
      三 業務の禁止 」
    • 行政書士に対する都道府県知事による懲戒についても行政書士法に明記されています。行政書士法人に対して同様の規定があります(第14条の2)。
  • 第19条の3(使用人等の秘密保持義務)
    • 「行政書士又は行政書士法人の使用人その他の従業者は、正当な理由がなく、その業務上取り扱つた事項について知り得た秘密を漏らしてはならない。行政書士又は行政書士法人の使用人その他の従業者でなくなつた後も、また同様とする。」
    • 行政書士の補助者や従業員も同様に守秘義務を負うことを明記しています。
  • 第22条(罰則)
    • 「第12条、第19条の3…の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。」
    • 「前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。」
    • 守秘義務違反には刑事罰が科される可能性がありますが、告訴がなければ公訴を提起できないとされています。

2. 行政書士職務基本規則における守秘義務

  • 第11条(秘密の保持)
    • 「行政書士は、正当な事由がなく、その職務上取り扱った事項について知り得た秘密を漏らしてはならない。行政書士でなくなった後も、また同様とする。」
    • 「行政書士は、その職務に従事する補助者及び事務職員等に対し、その者が職務上知り得た秘密を保持させなければならない。補助者及び事務職員等でなくなった後も、また同様とする。」
    • 「行政書士は、事件記録を保管し、又は廃棄するに際しては、秘密及びプライバシーに関する情報が漏れないように注意しなければならない。」
  • 第71条(遵守のための措置)
    • 「(行政書士法人の)社員等は、正当な事由のある場合を除き、その行政書士法人、他の社員等の依頼者について職務上知り得た秘密を保持しなければならず、また、利用してはならない。社員等でなくなった後、又は行政書士でなくなった後も同様とする。」
  • 以上のように、行政書士職務基本規則でも、行政書士法と同様に守秘義務を定めています。依頼者から預かった書類や作成した書類などの保管、廃棄についても守秘義務を遵守しなくてはなりません。

3. 守秘義務の重要性

行政書士は、遺言、相続、許認可申請、契約書作成など、個人のプライバシーや企業の機密情報に関わる業務を多く扱います。そのため、守秘義務は依頼者との信頼関係を築く上で不可欠です。

4. 守秘義務の例外

ただし、以下のような場合には、守秘義務が免除されることがあります。

  • 法令に基づく報告義務がある場合
  • 依頼者の同意がある場合
  • 自己の権利を守るためにやむを得ない場合

これらの例外に該当する場合でも、必要最小限の範囲で情報開示を行うべきであり、慎重な判断が求められます。

行政書士は、これらの法令や規則を遵守し、高度な倫理観を持って業務を行うことが求められています。

2025年2月28日

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